私とカードの間の世界

福岡の占い師Suiの探求

タロットとの向き合い方

●タロットとの向き合い方●

 

私が占い師として活動しながら自分の中で出来上がってきた世界についてまとめようと思ってこのブログを始めました。

 

 

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タロットカードは、カードを出す人(占い師)によって見方が(時にはかなり大きく)変わる、と考えています。

 

本屋の占いコーナーに行けばタロットの先生方が書かれた様々なタロット解説本がたくさんあります。時には本によっては同じカードの事なのに全く違う意味が書かれてることもあります。

どれが本当なのか?と迷うかもしれませんがどれも本当なのです。

 

例えば本に「愚者」の意味として自由、不安定、出発、危険、などと箇条書きで書かれてたとします。

それは「愚者」の正しい意味がこれですよという事ではなく、その占い師さんの「愚者」という物語に対する感想のようなものなのです。

 


例えばタイタニックという映画を見たとします。ある人にとっては「美男美女の素敵な恋愛ドラマ」という感想かもしれませんが、ある人にとっては「船が沈没して沢山の人が死ぬ痛々しい物語」かもしれません。

一つの物語に対する感想は人によって違って当たり前なのです。

「愚者」という物語がその占い師の中にすっかり入ってしまってる場合、その占い師というひとりの人間の中から化学反応のように何かが浮かび上がってきます。

それがリアルな感想というかたちで占いのリーディングを形作っていきます。

 


大切なのは、それが本当に純粋に本人の中から湧き上がってきたものなのか。

本当はタイタニックを見ると痛々しくて苦しい気持ちになるけどみんながキラキラした恋愛物語だと言っているから自分もそう言っておこうとか、「愚者」のカードは崖に向かって進んでるから引き止めたい気持ちになるけど本には自由とか冒険とかポジティブな意味が書いてあるからそれが正しいに違いない、と言っているとリーディングがブレてしまうかもしれません。

 


それはタロット占いとして出てくるカードはカードを扱ってるその人の存在を通した結果として出てくるからです。

 


タロットの先生が良く仰ることに

「占いに主観や個人的な価値観を取り入れてはいけない」

と言ったりします。

言ってる内容には大賛成なのですが、私の見解で言うと違う言葉になります。


むしろ、占いをするために「自分の価値観」は必要です。

前記したように自分の価値観がはっきり無いと物語に対する「自分の感想」が出てこないからです。

良くないものは、「思い込み」や「決めつけ」です。占いの先生達はこのことを「主観」や「価値観」と表現されているのだと思います。

 


お金があるほうが幸せに違いない、またはお金じゃない幸せを目指すことが正しい、どちらも思い込みです。

暴力をふるう彼氏とは別れないと幸せになれない、結婚相手は嘘をつかない誠実な人を選ばなければならない、というのも、多くの人にとって正しくても全人類にとって正しい訳ではないようです。

それらは全てカードが教えてくれることなので、占い師が決める事ではないのです。

 


そしてそういった「決めつけ」は占い師の「自我」が出てきてしまった時に起こりやすいようです。

自分が正しいと思っている事を肯定したい。それが正しくあってほしいという「欲」です。

その「自我」とか「欲」とかは全力で消し去らないと精度の高い占いは出来ないだろうと思います。

でもそれが結構難しい事です。

占いというのは知識やセンスだけでは出来ないものだな、と思うゆえんです。

 


人は誰でも自分が生きてきた分だけの経験や知識しかありません。しかし占い師としてお客さんと向き合う時、自分の小さな経験知識からは大きく上回るものに必ず向き合うことになります。

他人の人生は自分は経験していません。

そして、他人だからこそ占う事が出来る、と言えます。

自分自信のことは自我が邪魔してよく見えませんから。

 


目の前の相談者さんは自分には知り得ない体験をしてきた大いなる存在なんだという敬意。

自我を消してカードだけに忠実になること。

 


「自分にとってのこの一枚のカードはどんな存在なのか。」それが確立すればするほどその人とカードとの関係性は唯一無二の親友のようになっていきます。

自分の価値観が分かってない状態で親友や恋人を作るのは難しいものです。

 


「自分の価値観」は占いをするために必要な直感が降りてくるための土台となる、と考えています。

 

そこをしっかり耕していく事でより豊かなリーディングに繋がると思うのです。